和紙を身近につかう、豊かさを。
コウゾの黒い外皮を小刀で一枚ずつ削りとって、白皮にする作業「さくり」は、地域のおばちゃんたちの内職仕事。しかし、近年、この作業をになう人たちの高齢化がすすんでいます。
山の果研究所では、この技術を残していくため、地域の若い女性たちのグループとさくりをおこなう活動や、体験イベントをおこなってきました。
一方で、この作業で得られる収入は、昔ながらの内職仕事から変わらないため、長期的にかかわってもらえる担い手の確保に苦慮しています。
貴重な伝統産業である和紙作りを下ざさえする手しごとに、適正な評価が得られる仕組みづくりを目指して、持続可能な地域産業のあり方を考え、実現につなげる活動を継続しておこなっていきます。
山の果研究所では、2016年に吉野町国栖地区の耕作放棄地を開墾して、コウゾ栽培をはじめることから活動をスタートしました。
2018年には、吉野町三茶屋地区の耕作放棄地をあらたに再生利用。
22022年には、吉野町殿川地区の耕作放棄地を開墾して、コウゾの栽培地をさらに広げる予定です。
高齢化がすすむ中山間地では、作物を育てる人がいなくなった耕作放棄地が、急激に増えています。
耕作放棄地は、景観をそこねるだけではなく、人家や畑の近くまで害獣(シカ、イノシシなど)を呼びよせる環境を作ってしまいます。
人間に危害を加える可能性があるだけでなく、農地の柵をくりかえし壊して野菜を食い荒らしてしまうため、農業をする意欲が失われて、さらに放棄地が増える要因にもなります。
この活動には、大阪国際大学 田中優 研究室の学生の皆さん、地域住民のみなさん、和紙職人さん、地域団体のみなさんなど、多くの人が応援くださり、栽培を続けることができています。